子どものいない夫婦は、配偶者の生活が不安定になることがあります
以前「遺言書を書いた方が良い人」という記事を書きました。
今回は、私自身も該当する「子どものいないご夫婦」についてです。
子どものいない夫婦の場合、遺言書がないと、残された配偶者の生活が大きく揺らぐ可能性があります。
「家はそのまま住み続けられる」「預貯金も使えるはず」と思われがちですが、法律上はそうならないことが多いです。
子どものいない夫婦の相続は、必ず“夫(妻)の親族”が関わる
配偶者以外の相続人は次の順で決まります。
- 両親
- 両親がいなければ兄弟姉妹
- 兄弟姉妹も亡くなっていれば甥・姪(代襲相続)
つまり、配偶者が単独で相続人になるのは例外的です。
※ 正確には
亡くなった方が一人っ子で、さらに両親もすでに他界している場合のみ、配偶者が単独相続人になります。
これは、以前のブログ「兄弟姉妹が相続人になるケース」、「兄弟姉妹には遺留分がない」にも関係します。
ケースの概要
- 家の名義:夫
- 同居:夫と妻(子どもなし)
- 夫の両親:すでに他界
- 夫の弟:1人
- 夫の兄は他界 → 兄の子(甥)が代襲相続人
■ 遺言書がないと、家が“共有”になる可能性
夫が遺言を書かないで亡くなった場合、不動産は法定相続分どおり共有になります。
- 妻:3/4
- 夫の弟:1/8
- 夫の甥:1/8
共有になると次の問題が起きます。
- 売却・建替え・リフォームに夫の弟・甥の同意が必要
- 1人が反対すると何も進まない
- 「持分を現金で欲しい」と言われることもある
- 妻が住み続けにくくなる可能性
■ 賃貸でも「生活費が引き出せない」問題が起きる
持ち家がなくても安心ではありません。
夫名義の預貯金・保険・退職金は、妻・夫の弟・甥で分ける必要があります。
- 法定相続分で分ける
- 遺産分割協議が必須
- 夫名義の口座から必要な生活費がすぐに引き出せない
- 生活が不安定になる可能性
賃貸でも「生活費が確保できずに困る」ことが起きます。
配偶者居住権について軽く触れておきます
2020年に始まった「配偶者居住権」により、一定の条件で配偶者が住み続けられる制度があります。
ただし、
- 評価が複雑
- 土地と建物の名義が別だとさらに難しい
- ケースにより利用しないほうが良いこともある
ため、実務では慎重な判断が必要です。
配偶者居住権については別の記事で詳しく解説します。
遺言書があれば、配偶者をしっかり守れる
遺言書で、例えば
「家や預貯金はすべて妻に相続させる」
という内容を書いておけば、兄弟姉妹や甥姪は反対できません。
理由は、兄弟姉妹には遺留分がないためです。
遺言書があると、
- 家の共有化を防げる
- 賃貸でも生活費を確保しやすい
- 遺産分割協議が不要
- 配偶者の生活が確実に守られる
という大きなメリットがあります。
相続人が「配偶者+両親」の場合は“遺留分あり”に注意
両親が健在で子どもがいない場合の法定相続分は
- 配偶者:2/3
- 父母:1/3
両親の遺留分は、その半分である 1/6 です。
遺言書で全てを配偶者に遺しても、
父母から最低1/6は請求される可能性がある ことを知っておく必要があります。
ただし、両親が高齢・関係良好などの理由で請求しないケースも多いです。
まとめ
- 子どものいない夫婦の相続は「配偶者+夫(妻)の親族」で行われる
- 持ち家は共有になり、住み続けにくくなる可能性
- 賃貸でも預貯金が分割され、生活費が確保しにくい
- 兄弟姉妹には遺留分がない
- 両親には遺留分があるため注意
- 配偶者居住権は万能ではない
- 遺言書があるだけで、配偶者の生活は大きく守られる
■ 行政書士としてお手伝いできること
遺言書作成のサポートをはじめ、生前対策や財産整理(財産目録作成)などもご相談いただけます。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
岡部あき子(行政書士)
小江戸川越より、行政書士事務所開業準備中のあれこれをお届けしています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の相談に応じるものではありません。
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