再婚・前婚の子がいる場合
「再婚している」「前の配偶者との間に子どもがいる」という場合、
相続ではトラブルが起きやすくなります。
仲良く再婚生活を送っていても、
相続になると「前婚の子ども」も法律上の相続人として出てくるからです。
ケースの概要
■ 登場人物
Aさん(夫・60代):Bさんと再婚。Bさんと2人暮らし。
Bさん(妻・50代):Aさんの妻。Aさんとの間には子どもなし。
Cさん(Aさんの前妻の子・30代):離婚時、前妻に引き取られた為、Aさんとは長く会っていない。
Aさんは、Bさんと再婚して10年。
お互いを支え合いながら、静かな2人暮らしを続けてきました。
Aさんには、前の奥さんとの間に Cさんというお子さん が1人います。
Cさんはすでに成人し、独立していて、Aさんとは20年以上会っていません。
──でも、会っていなくても「親子である」という事実は変わりません。
そんな中、ある日突然、Aさんが亡くなりました。
遺言書はありませんでした。
Aさん名義の財産は、
- 現在Bさんが暮らしている自宅
- 少しの預貯金
だけです。
Bさんは今後の生活を心配し、
Cさんは久しぶりに耳にした「父の死」に戸惑いながらも、相続の連絡を受けます。
遺言書がないとどうなる?
遺言書がないとどうなる?
このケースでは、相続人は次の2人 になります。
- 現在の配偶者である Bさん
- 前婚のお子さんである Cさん
民法上、
「前婚の子どもだから相続権が弱い」ということは全くありません。
親子である以上、相続の場面では同じ立場になります。
そのため、次のような“すれ違い”が起こりやすくなります。
- 長い間会っていなかったCさんの同意がないと、自宅を売却できない
- 「自宅をどうするか」「預貯金をどう分けるか」で、お互いに考え方が違い、話し合いが長引く
- Cさんの連絡先調査や、書類のやり取りに時間と手間がかかる
- Bさんは、これまで関わりのなかったCさんと急に協議をすることになり、戸惑いが大きい
とくに、自宅以外に大きな財産がない場合 には、
「自宅を売らないと相続分を渡せない」
「でもBさんは住み続けたい」
といった形で、双方にとって自然な気持ち同士がぶつかりやすくなります。
前婚のお子さんにも遺留分がある
子どもには「遺留分」という、最低限の取り分が保障されています。
Cさんも相続人である以上、遺留分を持っています。
遺留分とは?遺言があってももらえる最低限の取り分
遺留分とは、遺言があっても子どもが受け取ることができる最低限の権利です。
前婚のお子さんであっても、その点は変わりません。
そのため、もし遺言で
「全財産をBさんに相続させる」
と書いたとしても、
Cさんが遺留分を請求する可能性はゼロではありません。
トラブルを防ぐためにできること
再婚家庭では、家族としての歴史や距離感がそれぞれ違うため、
相続になると突然その“違い”が表面化しやすくなります。
安心して暮らし続けられるようにするためにも、次のような対策が役立ちます。
- 公正証書遺言 で、配偶者の生活を守る内容をしっかり書いておく
- 前婚のお子さんにも一定の財産を遺すか、バランスを考えておく
- 自宅を誰に承継させるか を明確にしておく
- 遺言執行者を指定 し、手続きをスムーズにしてあげる
- 必要に応じて、家族信託など他の選択肢 も検討する
再婚家庭は、ふだんはとても円満であっても、
相続となると「現在の家族」と「前婚のお子さん」という別々の立場が関わります。
だからこそ、
誰にとっても安心できる形を準備するために、遺言書はとても大きな助けになります。
「うちの場合はどうなるのだろう?」と感じたときは、
お一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
お近くの行政書士などの専門家に相談してみてください。
岡部あき子(行政書士)
小江戸川越より、行政書士事務所開業準備中のあれこれをお届けしています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の相談に応じるものではありません。
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