遺言書を作ろうとしたとき、
「私も同じ内容でいいから、二人で一緒に署名しておこうか」
「公正証書遺言って費用がかかるから、二人まとめて一通にできないのかな?」
と話すご夫婦は多いものです。
ですが、実はこのように**夫婦で一通の遺言書を作ること(共同遺言)**は、
法律で禁止されています。
二人が同じ証書に署名した遺言書は、無効になってしまうおそれがありますので、注意が必要です。
共同遺言とは?
一通の遺言書に、二人以上の人が一緒に遺言を残すことを「共同遺言」といいます。
たとえば、夫と妻が同じ紙に「お互いが亡くなったら財産は子に」と書き、二人で署名押印するような場合です。
なぜ禁止されているの?
民法第975条で、共同遺言は禁止とされています。
理由は、遺言は「自分の自由な意思」で内容を変えられるものでなければならないからです。
二人で一緒に書いてしまうと、どちらかが内容を変えたいときに、もう一方の同意が必要になってしまいます。
そのため、たとえ夫婦であっても、遺言は別々に作る必要があります。
夫婦で同じ内容にしたい場合は?
夫婦で同じような内容にしても構いませんが、
それぞれが自分の遺言書を作成する必要があります。
形式も別々(それぞれの署名・押印)にするのが原則です。
また、自筆証書遺言の場合は、全文を自分の手で書かなければなりません(民法968条)。
ただし、財産目録については例外で、パソコンで作成したものや、
通帳・登記事項証明書などのコピーを添付することも認められています(民法968条2項)。
公正証書遺言にする場合も、1人につき1通ずつ作成します。
まとめ
「仲の良い夫婦で一緒に書けば間違いない」と思いがちですが、
夫婦で1通の遺言書を作ると無効になります。
お互いに想いを伝えたい場合は、
それぞれの遺言書を作り、内容を揃えておくのが安心です。
🧾法的根拠
民法第975条(共同遺言の禁止)
遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない。民法第968条(自筆証書遺言)
1 自筆証書遺言によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
※ただし、財産目録については、パソコン等で作成したものや通帳のコピーを添付することも認められています。
財産目録を添付する場合は、そのすべてのページに署名・押印しておくことを忘れないようにしましょう。
岡部あき子(行政書士)
小江戸川越より、行政書士事務所開業準備中のあれこれをお届けしています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の相談に応じるものではありません。
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