「自分で書いた遺言書、なくしたらどうしよう…」
「家族に見られない場所に置きたい」
──そんな不安を解消するために、法務局で自筆の遺言書を預かってもらえる制度があります。
今日はポイントだけをやさしく解説します。
この制度でできること(かんたん概要)
自筆証書遺言を安全に保管してもらえるのが法務局の「自筆証書遺言書保管制度」です。
法務局が原本のまま預かることで、紛失や改ざんの心配が減り、
相続開始後に家庭裁判所で行う「検認」も不要になります。
- 法務局(遺言書保管所)が原本を保管。
- 相続開始後は家庭裁判所での検認が不要。
- 紛失・改ざん・発見されないリスクを軽減。
利用できる人と申請先
- 遺言者本人のみが申請できます(代理申請は不可)。
- 申請先は、住所地・本籍地・所有不動産の所在地に対応する法務局から選べます(予約制)。
手続きの流れ
- 遺言書を作成
(本文は自書。用紙サイズ・余白など細かい指定あり。財産目録は条件付きでパソコン作成可) - 予約のうえ法務局へ出向く(本人確認・形式面の外形チェック)
※代理人による申請、郵送による申請はできません。
本人が外出できないなど、法務局に行けない場合は、公正証書遺言を検討しましょう。
※本人の確認には顔写真付きの官公署から発行された身分証明書(マイナンバーカードなど)が必要です。 - 保管完了(保管番号・保管証の付与・遺言書は画像情報として管理)
通知制度について
法務局の保管制度には、「指定者通知」と「関係遺言書保管通知」の2つの通知制度があります。
■ 指定者通知
遺言書を預ける際、遺言者はあらかじめ最大3名まで「自分が亡くなったあとに知らせてほしい人(指定者)」を登録しておくことができます。
遺言者の死亡が戸籍などで確認されると、法務局からその指定者へ「遺言書が保管されています」という通知が届きます。
(遺言の内容までは通知されません)
この通知を設定しておくことで、家族や関係者が遺言書の存在を知らずに手続きを進めてしまうリスクを防ぐことができます。
👉 詳しくは法務省の公式ページをご参照ください:法務省|指定通知について
■ 関係遺言書保管通知
相続人などが遺言書の閲覧や証明書の交付を請求した場合、他の相続人などにも「その請求があったこと」が通知される仕組みです。
内容までは通知されませんが、関係者間の透明性を保つための制度です。
費用(目安)
「遺言書の保管の申請」には、遺言書1通につき 3,900円の手数料がかかります。
その他の手数料については、法務省の公式ページでご確認ください。
👉 法務省|自筆証書遺言書保管制度 手数料一覧
相続が始まったら(ご家族の手続き)
遺言者が指定通知制度を利用されている場合、遺言者の死亡が確認されると、
保管時に登録された指定者(最大3名)には
法務局から「遺言書が保管されています」と通知が届きます(遺言内容は通知されません)。
通知を受けた方や相続人は、法務局に請求して遺言書の閲覧や「遺言書情報証明書」の交付を受けることができます。
遺言書や証明書が自動で送られてくるわけではなく、法務局への請求が必要です。
ここが大事!注意点
法務局では遺言の内容に関する相談や助言は行いません。
形式(押印・日付など)の確認に限られるため、文言の不備や記載のあいまいさがあると、
意図どおりの効果が得られない場合もあります。
まとめ
法務局の保管制度は、遺言書を安全に預けて守るための制度です。
ただし、書かれている内容が希望どおりの効力を発揮するかは別の検討が必要です。
想いを確実に形にするためには、行政書士などの専門家に相談し、内容を整えておくことが安心です。
※本記事は令和7年10月時点の法務省公式情報をもとに作成しています。
制度内容は変更される場合がありますので、最新情報は法務省の公式資料をご確認ください。
📄 遺言書保管申請ガイドブック(法務省・PDF)
岡部あき子(行政書士)
小江戸川越より、行政書士事務所開業準備中のあれこれをお届けしています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の相談に応じるものではありません。
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