子どもがいない・配偶者もいない場合

家族のあり方は、人それぞれです。
結婚しているかどうか、子どもがいるかどうか──そのどれにも決まった“正解”はありません。

ただ、自分に子どもがおらず、近くに頼れる家族がいない場合は、
遺言書がないまま亡くなると、疎遠な甥や姪が突然相続人として手続きを担うことになることがあります。


ケースの概要

Aさん:独身(子どもなし)
※配偶者に先立たれ、子どもがいない場合もこのケースに含まれます。

Aさんの相続人

  • 第一順位:父母
  • 第二順位:兄弟姉妹
  • 第三順位:甥・姪(代襲相続人)

父母が亡くなっている場合は兄弟姉妹へ。
兄弟姉妹のうちすでに亡くなっている方がいる場合は、その子ども(甥・姪)が代襲相続人となります。

一人っ子などで第三順位まで該当者がいない場合は、相続人不存在 となります。


■ 遺言書がない場合に起きやすいこと

● 甥姪への突然の負担

疎遠な甥姪が相続人になる場合でも、死亡を知らせる制度はありません。
賃貸の管理会社や金融機関から突然連絡が入り、甥姪が慌てて対応することも少なくありません。

書類集め、財産調査、公共料金の解約など、想像以上の作業が発生します。


● 自分の望まない人に財産がいく可能性

遺言がない場合、
「世話をしてくれた人」「親しい友人」「内縁パートナー」には一円も相続できません。

法律で定められた親族に自動的に相続されるため、
「この人に残したかった」という希望は反映されません。

また、兄弟姉妹・甥姪には遺留分がありません。
そのため、遺言があれば
お世話になった一人だけに全額残すことも可能 です。
なぜ兄弟姉妹には遺留分がないのか?その理由と注意点


● 相続人が辞退した場合は清算人の選任へ

相続人がいない、または誰も手続きできない場合、
家庭裁判所が**相続財産管理人(清算人)**を選任します。

ただし、これは
“遺言書がなくても全部やってくれる制度”ではありません。

  • 選任に時間がかかる
  • 報酬が相続財産から差し引かれる
  • 手続きが煩雑で、親族にも影響が及ぶ

などのデメリットがあります。


遺言書で自分の希望を残す

遺言書がないと、法定相続どおりに財産が分かれます。
しかし兄弟姉妹には遺留分がないため、
あなたの財産を “誰に・どれだけ” 残すか、100%自由に決められます。

● お世話になった一人に残す

● 仲の良い友人や身近で助けてくれた人に渡す

● 応援したい団体に寄付

遺言書があれば、すべて確実に実現できます。


遺言執行者を指定しておくと安心

遺言書には 「遺言執行者」 を決めておくことができます。
これは、あなたの代わりに遺言の内容を確実に実現する役割の人です。

遺言執行者がいれば、

  • 銀行手続き
  • 名義変更
  • 相続人への通知
  • 各種書類の取得や、必要な行政手続き など

といった複雑な作業を進めてくれるため、残された方の負担が大きく軽くなります。

ここで大切なのは、
遺言執行者を“勝手に指名する”のではなく、必ず事前に了承を得ておくこと。
遺言執行者は責任も手間も大きいため、依頼されていない人にとっては負担が重すぎる場合があります。

また、行政書士など専門家を遺言執行者に指定することもできます。
法律や手続きに詳しい専門家に任せることで、より確実・円滑に進められます。


遺言書は「確実に見つかる形」で残すことが大切

独身の方や、頼れる家族が近くにいない方は特に、
遺言書そのものが見つからず、使われないケースが起きがちです。

そのため、

公正証書遺言

法務局の遺言書保管制度

を利用しておくことをおすすめします。
どちらも 紛失・改ざんの心配がなく、「検認」が不要で手続きがスムーズ」 というメリットがあります。


まとめ

子どもも配偶者もいない方の相続は、
「自分らしさをそのまま形にできる、もっとも自由な相続」 です。

遺言書を作っておけば、
大切な人に感謝を届けたり、応援したい相手に託したり、
あなたの意思をまっすぐ実現できます。

遺言執行者の指定や専門家への相談を活用しながら、
安心できる将来の準備をしておきましょう。

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行政書士 岡部暁子

小江戸川越の「行政書士岡部あき子事務所」より、
暮らしに寄り添う相続・遺言コラムをお届けしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別事情に対する助言には該当しません。

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